“あったはず”の部品はどこへ?現場と向き合う保全リーダーの記録

週の始まり、月曜日。今週末の操業に向けた事前対応に追われる中、現場に緊張が走る瞬間がありました。抜き打ちの「貯蔵品監査」です。 結果は、10件以上の予備品が所在不明。「先月はあったはずなのに」という言葉が虚しく響きます。 なぜ、私たちの現場では棚卸しがピタリと合わないのか。4500件という膨大な予備品と向き合う中で痛感した、整理・整頓の「現在地」と葛藤について綴ります。

4500分の10、その「見つからない」の重み

「あれ、ここにあるはずなんですけど……」 監査対応をしてくれたメンバーのKさんの困った顔が目に浮かびます。

今日行われた抜き打ち監査の結果、10件以上の予備品が即座に見つからず、後日確認という「宿題」になってしまいました。先月の棚卸し時には確認できていたものが、ふっと消えてしまう。現場ではよくある怪奇現象ですが、これは明確な管理不足です。

しかし、言い訳をさせてもらえるなら、私たちが管理している予備品の世界はあまりに広大です。 管理点数は約4500件。保管場所は10ヶ所以上の電気室に加え、整備工場、さらに大物予備品エリアなど多岐にわたります。 モノの種類もまた、千差万別。

  • 大物: モーター、ブレーキ、インバータ、水冷ケーブルなど
  • 小物: センサー、リミットスイッチ、リレー、シーケンサ、基板、コネクタ部品など

これらが広大なエリアに点在しているのです。「探すムダ」がどれだけ発生しているか、想像するだけで胃が痛くなります。

アナログ管理「現品票カード」の限界

現在、私たちは各予備品に「カード(現品票)」を取り付けて管理しています。 使ったらカードを回収し、それを元に台帳を更新する。一見シンプルな仕組みですが、ここには人間の行動心理という大きな落とし穴があります。

  • カードの脱落: 現場の油やホコリ、振動でいつの間にか外れてしまう。
  • ヒューマンエラー: 緊急トラブル対応時、予備品を持ち出すのに精一杯で、カードを現場に置き忘れてしまう。

トラブル復旧が最優先される現場において、カードの回収はどうしても後回しにされがちです。その結果、システム上の在庫と、目の前の棚の現実が乖離していく。 「整理(要るものと要らないものを分ける)」「整頓(必要なものがすぐに取り出せる)」 基本中の基本である5Sが、この規模とアナログな運用の中では維持しきれていない。これが今の私たちの実力であり、大きな悩みです。

今回の「トヨタ思考」的気づき

【探すムダをなくす「自働化」への渇望】

トヨタ生産方式でいう「ムダ」の中でも、モノを探す時間は何の付加価値も生まない最たるものです。 今回の件で痛感したのは、「人の意識に頼る管理(精神論)」の限界です。 「カードを忘れないようにしよう」と注意喚起するだけでは、この4500件のズレはなくなりません。

  • 定位置・定品・定量(3定)の徹底:まずは物理的な置き場の見直し(整頓)。
  • 仕掛けの改善:例えば、持ち出したら自動的に検知するような仕組みや、画像認識AIでの棚卸しなど、デジタルの力(DX)を借りなければ、この規模の管理は適正化できない時期に来ているのかもしれません。

未完成な今の状態を直視し、「人がミスをしない仕組み(ポカヨケ)」をどう在庫管理に組み込むか。それが次の私の課題です。

読者(現場リーダー)への一言

皆さんの現場では、予備品の棚卸し、一発で合っていますか? 「うちはこうやって管理してうまくいったよ」という知恵や、逆に「うちもカード管理で苦労してる」という共感の声があれば、ぜひ教えてください。完璧じゃないからこそ、一緒に知恵を絞っていきましょう。

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