「若手は育っているのに、中堅が伸び悩む」。そんなジレンマを抱えていませんか? 昨晩の夜勤、私はある中堅メンバーの対応に愕然とし、正直なところ「もう諦めたい」とさえ思いました。しかし、感情を吐き出した後に残ったのは、やはり「リーダーとしてどう向き合うか」という問いでした。 今日は、現場で起きた等身大の葛藤と、そこから見出した一つの覚悟について書き残します。
「経験者」だから期待したのに
昨晩の操業は比較的落ち着いており、大きな設備トラブルもありませんでした。 しかし、リーダーである私には、現場の平穏とは裏腹に、事務処理の山が待っています。購買の検収、安全書類のチェック、先日のトラブルに伴う復旧工事の現調……。自分の身体がもう一つ欲しい状況でした。
そんな中、製造現場から一件の依頼が入りました。 私はその対応を、中堅社員である30代後半のメンバー(仮にNさんとします)に任せることにしました。
Nさんは、コツコツ調べたり面倒な作業を嫌う傾向があり、正直、手放しで信頼できるタイプではありません。しかし、今回不具合が出た設備は、昨年彼が導入時の立会検査に行っている機械です。 出張という(ある種の)役得を得た彼です。「さすがにこの設備なら責任を持って見てくれるだろう」。私はそう半分期待し、自分の業務に戻りました。
「分からないから止めた」で済む現場ではない
しばらくして、製造現場の担当者から私のPHSが鳴りました。 「すみません、結局直っていないので、リーダーに見てもらえませんか?」
耳を疑いました。 現場に行ってみると、Kさんの姿はありません。彼は少し調べて「分からない」と判断し、そのまま対応を止めてしまっていたのです。 報告もなしに、です。
Kさんよりも経験の浅い、入社5年目の若手メンバーの方が、よほど責任感を持って完遂してくれます。 「分からないなら、分かるまで調べる」「手に負えないなら、すぐに報告して指示を仰ぐ」。それが保全の基本であり、プロの仕事です。 それを30代後半の、いい歳をした大人ができていない。 「これでいい」と思っているその神経が理解できないし、また一から仕事への姿勢を教えなければならないのかと思うと、怒りよりも先にドッと疲れが押し寄せました。
「いなくても困らない」を「いてほしい」に変える
正直に言えば、今のKさんは「いなくてもほとんど困らない」存在です。 彼を見限り、優秀な若手や自分だけで回したほうが、精神衛生上も楽かもしれません。
けれど、日記に感情を書きなぐり、少し冷静になって気づいたことがあります。 組織として戦う以上、彼をこのまま放置することは、リーダーとしての敗北ではないか、と。
「使えない」と切り捨てるのは簡単です。 でも、それでは現場は強くならない。 腹立たしさも、呆れも、すべて飲み込んで、彼を「いてくれないと困る人材」「いてほしい人材」に引き上げること。 それが、今の私に課せられた、最も厄介で、最も重要なミッションなのだと自分に言い聞かせました。
今回の「トヨタ思考」的気づき
【モノづくりは人づくり】
トヨタには「モノづくりは人づくり」という基本理念があります。 よい製品、よい設備を維持するためには、それを扱う「人」が育っていなければなりません。 今回の件で痛感したのは、Kさんにはスキルの教育以前に、**「自工程完結(自分の仕事に責任を持ち、後工程に迷惑をかけない)」**というマインドセットの教育が必要だということです。
AIやマニュアルで技術的な補助はできても、「責任感」を植え付けるのは、やはり人と人との対話しかありません。 まずは「なぜ止めてしまったのか」「そこで止めることが、現場にどんな影響を与えるのか」を、根気強く問いかけるところから始めようと思います。
同じ現場リーダーのあなたへ
「なんであいつは……」と溜息をつきたくなる夜、ありますよね。その感情は、あなたが現場に真剣に向き合っている証拠です。 人を育てるのは、設備を直すより何倍も骨が折れますが、一緒に「諦めないリーダー」を目指して踏ん張りましょう。


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