週明け、操業再開のバタバタの中で飛び込んできた「計量エラー」の報告。現場からは「ロードセル(荷重計)の故障だから交換してほしい」との声が上がりました。しかし、安易な判断の裏には、500万円という巨額のムダと、保全マンとしての思考停止が隠れていました。今回は、トラブル対応の本質について考えます。
休暇明けの違和感と、安易な「部品交換」の罠
連休明けの月曜日。操業再開直後は何かしらトラブルが起きるものですが、今回の申し送りは予想に反して少なめでした。少しホッとしたのも束の間、**「ある秤量(ひょうりょう)設備の重量が、測るたびに2〜5kgバラつく」**という報告が入ります。
現場のオペレーターからは「保全の担当者から『ロードセルが寿命だ』と聞いた。すぐに交換してほしい」という強い要望が。しかし、その高額な部品を交換するには、500万円近いコストと多大な工数がかかります。
私は心のどこかで、違和感を拭えませんでした。「本当に、いきなりセンサーが壊れたのだろうか?」と。
「なぜなぜ」が導き出した、5kgの誤差の正体
私は現場に向かい、設備の動きをじっくりと観察することにしました。いわゆる**「現物・現場」**の確認です。
秤量機が上昇するプロセスを何度も繰り返して見ていると、ある瞬間、わずかな接触音と振動に気づきました。精査した結果、原因はセンサーの故障ではありませんでした。
- 上昇時にカバーの一部が干渉していたこと
- 配線ケーブルが不自然に引っかかっていたこと
これらが秤量時の抵抗となり、数値にバラつきを生んでいたのです。結果、補修と手直しだけで数値は正常に戻りました。センサーを交換する必要など、どこにもなかったのです。
保全の役割は「交換屋」ではなく「真因の特定」
今回、私が一番悔しく感じたのは、500万円のムダが出そうになったこと以上に、「調査もせずにセンサーのせいにする」という安易な思考が身内から出てしまったことです。
「壊れたから替える」というのは、誰にでもできる仕事です。しかし、私たち保全マンの真の価値は、「なぜ異常が起きたのか」を泥臭く追求し、真因を叩き出すことにあります。
楽をして結論を急ぐことは、成長の機会を捨てることと同じです。厳しい言い方かもしれませんが、思考を止めた瞬間、それはプロの仕事ではなくなってしまう。そんな危機感を強く覚えた一日でした。
今回の「トヨタ思考」的気づき
「五回のなぜ」を自問自答しているか? 異常を見たとき、即座に「部品の寿命」と決めつけるのは思考の怠慢です。今回のケースでも、「なぜ数値がズレるのか?→抵抗があるからではないか?→なぜ抵抗があるのか?→物理的な干渉はないか?」と掘り下げることで、500万円の損失を防ぐことができました。現場で起きている事象を、先入観なしに見つめる勇気が重要です。
読者の皆さん(現場リーダー)へ一言
メンバーが「部品のせいです」と言ってきたとき、それは教育のチャンスかもしれません。一緒に現場に立ち、「本当にそう言い切れる根拠はあるか?」と問いかける粘り強さを、お互い持ち続けたいですね。


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