「図面と違う!」の迷宮で見つけた、過去の自分たちからの宿題

この記事で伝えたいこと

「とりあえず動くようにしよう」——その場しのぎの優しさや機転が、数年後の自分や仲間を苦しめることになる。配線トラブルの対応を通じて痛感した、「図面修正」という地味だけれど絶対に必要な後始末について書き残します。


17本の線、正解はどこに?

今日は、ある重要設備の操作室(※)で起きた、監視カメラの不具合対応に追われていました。 (※特定を避けるため、設備の名称は伏せています)

当初は「映像が映らないなら、機器を交換すれば終わりだろう」と高を括っていたのです。しかし、現場で配線図を広げた瞬間、私の楽観は吹き飛びました。

図面上では、17台のカメラが電気室の「4分割切換器」を経由してモニターに出力される美しい構成になっています。しかし、目の前の現実はまるで違いました。 切換器は故障してホコリを被っているものがあり、ケーブルは図面にないルートで継ぎ足され、まさにスパゲッティ状態。

「これは……」

度重なる改造や、過去のトラブル時の応急処置。その時々の担当者が「なんとか復旧させよう」と奮闘した痕跡ではあるのですが、図面への反映が一切なされていないため、何がどこに繋がっているのか全くの迷宮入り状態でした。途方に暮れるとは、まさにこのことです。

地道な「現地現物」で見えた真実

嘆いていても映像は映りません。私は腹を括り、配線を一本一本手繰り寄せ、紙に書き出すという極めてアナログで地道な作業を始めました。

ホコリと格闘しながら現状を把握し、ようやくカメラ側のチェックへ。そこで判明したのは、さらに驚きの事実でした。 図面にある17台のうち、まともに映像信号が来ているのは、たったの2台だったのです。

「普段、どこを見てるんですか?」とオペレーターさんに聞くと、「いや、実はここ(その2台)しか見てないよ」とのこと。

なんと、迷宮の正体は「実は使われていない15台の亡霊」と「本当に必要な2台」だったのです。これぞ、現地現物でしか分からない事実でした。

「修理完了」の定義を変える

原因はシンプルに「4分割切換器」の故障でした。 必要とされているのは2台だけ。ならば、複雑な切換器を通す必要はありません。私はその2台のケーブルを直接モニターに繋ぎ直すことで、無事に映像を復旧させました。

技術的な作業はこれで終わりです。でも、今日の仕事はここで終わりにしてはいけません。

今回、私がこれだけ苦労したのは、過去の誰かが(あるいは過去の私が)「直ったからヨシ!」として、図面修正をサボったからです。 この苦しみを未来の誰かに引き継がせないために、今日はしっかりと図面を修正し、現物にもタグを付けて明記しました。

「改造や応急処置をしたら、図面修正と現物表示までやって初めて『仕事完了』とする」

この当たり前のルールを徹底しない限り、私たちはいつまでも「過去の借金」を払い続けることになります。今日の疲れは、その戒めとして心に刻みました。


今回の「トヨタ思考」的気づき

【標準化とは、最新の状態を維持すること】

トヨタ生産方式で言う「標準化」は、決めたことを守るだけでなく、変化に合わせて書き換えていくことも含みます。 応急処置(暫定対策)は、火消しとしては優秀ですが、それを恒久対策(図面反映・本修理)に昇華させないと、それはただの「現場の混乱」として蓄積されてしまいます。 「後で直そう」は、絶対にやりません。その場で赤書き修正するだけでも、未来の仲間を救う立派な改善です。


読者(現場リーダー)への一言

配線図と現物が違う時の絶望感、皆さんも経験ありますよね?(笑) 次にその盤を開ける誰かのために、今日ペンを持つその一手間が、現場の信頼を作ると信じていきましょう!

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