不便さの中にヒントがある。新・棚卸しシステム導入と現場のリアルな葛藤

現場のデジタル化やDX推進、皆さんの工場ではスムーズに進んでいますでしょうか? 今日は、年に一度の大仕事である「棚卸し作業」を行いました。実は今回から、去年の反省を踏まえて新しいスマートフォンを使った棚卸しシステムを導入したのですが……これがなかなか一筋縄ではいきませんでした。「不正を防ぐための完璧なシステム」が、現場に思わぬ「不便さ」をもたらしてしまったのです。今回は、デジタル化の試行錯誤と、そこから見えてきた改善のヒントをありのままに書き留めておきます。

去年の「やらかし」が生んだ新システム

今回のシステム刷新には、明確なきっかけがありました。それは昨年の棚卸しで発覚した「物がないのにカードだけスキャンして、在庫があることにしてしまう」という不正確な処理です。

この問題を二度と起こさないため、新システムには強力な縛りが設けられました。 スマホで貯蔵品カードをスキャンする際、必ず「立会人」の端末とペアリングしなければ作業ができない仕組みです。さらに「10件ごとの再ペアリング」「15分ごとのバーコード更新」という条件が追加され、システム上、絶対に立会人がいる状況でしか棚卸しができない堅牢な設計になりました。管理側の視点に立てば、非常に安心感のある仕組みです。

立ちはだかる「電波の壁」と現場の悲鳴

しかし、いざ現場で使い始めると、想定外の壁が立ちはだかりました。「電波」です。 このシステムはクラウド送信型のアプリーケーションなのですが、古い設備が入り組む工場の現場には、Wi-Fiや携帯回線の電波が届かない死角がたくさんあります。

「10件スキャンしたら再ペアリングが必要」なのに、その場で通信ができない。結果として、10件スキャンするたびに電波の届く場所までわざわざ歩いて移動し、データを送信してからまた現場に戻る……という作業を繰り返すことになってしまいました。 当然、現場からは「前より時間がかかる」「かなり面倒になった」という悲鳴に近い声が上がっています。

完璧ではないシステムを、どう現場に馴染ませるか

現場の不満はもっともです。作業の正確性を担保するために、現場の作業性が極端に落ちてしまっては本末転倒です。ただ、ここで「やっぱり昔のアナログなやり方が良かった」と後戻りするわけにはいきません。

現場を観察しながら考えた改善案は、「オフラインでのデータ一時保存(バッファ)機能」の追加です。ペアリングによる「立会人の確認」という本来の目的は維持しつつ、データは端末内に一時保存し、電波のある場所に戻ったタイミングでまとめて送信できれば、現場の移動のムダは劇的に減るはずです。

「再発防止」と「作業性」のバランスを見極め、システムをカイゼンする

昨年の不具合に対する「再発防止策(ポカヨケ)」としては、今回のシステムは機能しています。しかし、そのために「運搬のムダ」や「動作のムダ」を現場に強いてしまっています。 システムは導入して終わりではなく、導入してからがスタートです。「システムに現場を合わせる」のではなく、「現場の運用に合わせてシステムを育てていく(カイゼンする)」姿勢が重要だと改めて痛感しました。このオフラインバッファのアイデアは、現場の負担を減らすため、早急にシステム側へ提案してみます。

読者(同じ現場リーダー)への一言

新しいツールやシステムを導入すると、必ずと言っていいほど現場との間に摩擦が起きますよね。「面倒くさい」という現場の不満は、一見するとネガティブですが、実は「改善の種」そのものです。皆さんの現場でも、システム導入で「思ってたのと違う!」となった経験はありますか? 完璧じゃなくても、そこから一つずつカイゼンを積み重ねていきましょう。

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